レシピの中で「分量外」という言葉を見たことがあるでしょうか。ネット上で見られるレシピはもちろん、レシピ本にも書いていることがありますが、この「分量外」を見て、どれくらいの量を入れたらいいのか困ったことがあるという人も多いはず。
そもそも、なぜ始めから材料に記載しないのか。本記事では、よくある「分量外」の例とともに解説します。
そもそも分量外とは
そんな言葉聞いたことも見たことも無い!という方のために簡単に解説すると、「分量外」とは、レシピにおいて調理工程には登場するが材料欄には記載されていない材料のことです。
例えば、「油大さじ1(分量外)を入れて〜」のような使い方をします。
「調理に使うなら始めから材料に書いておけばいいのに」と思ってしまいますが、あえて材料に書かない理由があるんです。
「分量外」は材料欄に記載されていない材料のことで、具体的な分量のことではありません。
・「〇〇大さじ1(分量外)」
・「〇〇適量(分量外)」
のように、量と合わせて記載される事が多いです。「適量」「少々」「ひとつまみ」の違いを知りたい方は下記記事も合わせて読んでみてください。
分量外として記載される理由
ここからは、なぜ材料欄に記載せず「分量外」と記載されるのか、その理由をみていきます。
1. 味に直接的な影響を及ぼさない
1つ目の理由として、料理の味に直接的に影響しないという理由があります。
油や塩、打ち粉など「分量外」は様々なシーンで登場しますが、多くの場合完成の料理の味に直接的には影響しません。
もちろん、必要な材料ではあるので出来の良さに影響はするのですが、ここで言う「味」とは、塩味(えんみ)や甘味など味覚に相当する要素、水分量などです。
例えばパンのレシピで、
A:台に打ち粉をして(分量外)生地を捏ねます。
B:塩を小さじ1/2入れます。
という表記があった場合、Aの方はパンの味覚的要素や焼き上がりにあまり影響しませんが、Bは大きく影響します。
2. レシピを分かりやすくする
2つめの理由として、材料欄を見た時のレシピを分かりやすくしたり、ミスを減らしたりする目的があります。
例えばブロッコリーを下茹でする時、1.5リットルの水と大さじ1の塩を使うとします。
1つ目に挙げた理由に繋がりますが、この大さじ1の塩(下茹で用)は料理の味に大きな影響を及ぼすものではありません。
であるにも関わらず材料欄に記載すると、項目が多く見づらくなってしまいます。
また、見づらいと言うことはレシピでミスを犯してしまう可能性も高くなります。
(例)
材料欄に、
- 塩A 大さじ1
- 塩B 小さじ1/2
と記載があるレシピを、料理が慣れている人とそうでは無い人の2人が見たとします。
本来、味の調整用として塩Bを入れるタイミングで、2人は誤って塩Aを用意しました。
料理に慣れている方であれば、大さじ1の塩がどれくらいの塩味を与えるのか想像ができると思うので、味の調整で大さじ1の塩を入れる事に一瞬違和感を覚えると思います。
そこでよく確認すると、下茹で用の塩だった事に気が付きます。
しかし料理に慣れていない人は、レシピ通りに作るという考えを徹底した結果、間違いに気が付かず、塩Aを入れてしまうという事が起こるかも知れません。
そこで、塩Aを材料欄に記載せず「分量外」として手順の中だけに記載しておけば、このようなミスは防げるでしょう。
3. 調理環境や食材によって左右される
様々な要因で一概に分量を決められない場合に使用します。
「適量」として材料欄に記載する場合もありますが、2つ目で挙げた理由から、レシピ開発者の判断で材料欄に記載しない場合もあります。
具体的にどういうことかと言うと、
- 食材の持つ水分量、塩分濃度が一定でない場合
- 調理器具の大きさによって使用する分量が異なる場合
などです。
特に野菜は季節や個体差によって水分量が大きく異なりますので、煮込み料理などの水分量に大きく影響します。
塩漬けなどの加工品を使用する場合や魚介類を使用する場合も、どれくらいの塩分濃度なのか、商品やものによって異なる場合があります。
そういった調理環境や個々の特徴で一概に分量を決定できない時、適量を分量外とすることがあります。
分量外として記載される事が多いもの
1. 鶏肉や魚の下味
鶏肉の下味として、塩や胡椒、砂糖などを使用する事があります。鶏肉の下味は、食べた時の旨味の感じ方や食感への影響などを目的としていますが、料理全体の塩味(えんみ)を調整する目的とは少しずれています(完全に影響しないというわけではありませんが)。
また、魚への下味は臭み抜きを兼ねていたりします。
こういった下味の塩の量は、全体にうっすらかかる程度が基本です。
全体の塩味調整では無いので、具体的な分量が決まっておらず、「分量外」となるのですね。
2. 下茹での塩
ほうれん草やブロッコリーなどを下茹でする時、塩を少々入れる時があります。塩茹でする事で色が鮮やかになってくれます。
これも1と同じく「料理全体の塩味」を調整するものでは無いので、「分量外」とされる事が多いです。
3. 水
タマネギなどを炒めている時に少量の水を加えたり、シチューのような煮込み系の料理の水分量を調整するなど、分量外の水を使用することは多々あります。
前者の例では、鍋肌にこびりついた旨味などをこそぐ目的で水を使用しており、料理の水分量を決めるものではありません。
また、後者の例では野菜から出る水分量や微妙な火加減の差などで、鍋の中の水分量が毎回一定ではないので、「分量外」という表記をする事があります。
まとめ
「分量外」の謎は解けたでしょうか?
初めて見る人にとっては厄介な表記ですが、特別な表記である事にはきちんと理由があったのです。
今日はレシピに出てくる「分量外」のお話しでした。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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