Cooking

東西で違う、桜もち|道明寺と長命寺、その由来とは?

written by : Nina

東西で違う、桜もち|道明寺と長命寺、その由来とは?

桜餅と聞いて思い浮かべるのはどんな形でしょう?


これは出身地によって大きく分かれることが多いと思いますが、桜餅といえば主に関西では道明寺スタイル、関東では長明命寺スタイルの桜餅をさします。

IMG_8104-min.jpg

違うのは見た目だけ? いえ、材料も違います!

どちらも桜餅という同じ呼び名ですが、材料が違うので見た目も味も異なります。
共に塩漬けされた桜葉を巻いて仕上げますが、長命寺は溶いた小麦粉を楕円に薄く焼いたものであんこを挟んだもの、対する道明寺は蒸した餅米を干して作る糒(ほしいい)を粗く砕いた道明寺粉を蒸したものであんこを丸く包みます。

つぶつぶした見た目の、もち米で出来たものが西の道明寺。
クレープのような見た目の、小麦粉で出来たものが東の長命寺。


では、そもそもなぜ東西で違った桜餅が生まれたのでしょうか。

東西で違う、桜餅の由来は?

違いの理由はその発祥が異なるから。
現在見つかっている記録では、長命寺の方がその歴史は古いようです。


桜餅が誕生したのははるか遡って江戸時代。徳川吉宗の命で植樹した、隅田川の桜を使った菓子が始まりだといわれています。
そして、販売された場所が長命寺というお寺の門前であったことから関東の桜餅は長命寺と呼ばれるようになりました。

2a788918a2c1410f90384ffcf0ce128d-min.jpg



じゃあ、道明寺桜もちも道明寺っていうお寺の近くで売られてたんでしょ、と思いきやこちらはちょっと発祥が異なります。
確かにお寺は関係ありますが、直接の関わりは材料であるつぶつぶした道明寺粉。 この材料が大阪藤井寺にある道明寺というお寺が発祥なので関西の桜餅は道明寺と呼ばれます。
では、道明寺桜もち自体の発祥はというと、諸説ありはっきりとしたことはわかりませんでした。 ただ、調べた限りでは特に道明寺の付近で売られていたということは特になく、発祥のお店は大阪の北堀江の土佐屋。 1800年代前半に作られはじめたようですが、江戸っ子の間で人気になった桜餅が関西まで伝わって形を変えたのか、それともまったく関係なく作られ始めたのかは不明です。

道明寺、長明寺、どっちが優勢?

私は関西出身ですので、断然道明寺派なのです。
というより、関西では和菓子屋さんでもスーパーでも取り扱っているのは道明寺のみです。

ところが、関東に引っ越して驚いたのですが、道明寺も長命寺もどちらも売っているのです。
なんなら両方入ったセット販売なんてものもお見かけしました。
地域によるのかもしれませんが、関東圏でも道明寺のみ、両方、長命寺のみの3パターンなので、全国的に見ると若干道明寺が優勢なのかもしれませんね。
実際のところはどうなのか、読者アンケートでも取ってみたいかも。


ちなみに、私は道明寺を毎年必ず食べたくなるので、買うこともあれば作ることもあります。 手作りする時はすでにピンク色のついているこちらが断然簡単に作れるのでおすすめです。


元祖桜もちは現在も食べられる?


関東風の長命寺桜もちは、発祥のお店である"山本や"さんで今でも販売されています。固めの餡子が小麦粉と水のみで作ったもちもちの生地と、3枚の葉で包まれています。興味があれば試してみても。
一方で、道明寺桜もちの土佐屋は現在は残っておらず、購入することはできません。 代わりにと言ってはなんですが、京都の御菓子司 鶴屋寿の嵐山さ久ら餅なんていかがでしょうか? 2枚の葉で挟んだ特徴的な見た目が有名です。

【婦人画報】嵐山さ久ら餅 20個
ohmycottie

©ohmycottie